後遺障害逸失利益とは何か?(交通事故)No.63

 どうも、札幌の弁護士の立花です。

 

 今日は、交通事故の賠償金で最も重要といっても過言ではない、「後遺障害逸失利益」のコラムです。

 

 

 

 後遺障害が認定された場合、損害賠償の項目として、「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」という項目が増えます。

 

 このうち、「後遺障害慰謝料」とは、後遺障害を負ってしまった方の精神的苦痛を慰謝するための賠償金となります。

 

 法律のお話に馴染みのない方でも、「慰謝料」と聞くとイメージは沸くのではないでしょうか。

 

 

 

 

 一方、「後遺障害逸失利益」とは、何なのでしょうか。


 

 ズバリ、「後遺障害逸失利益」とは、後遺障害の影響で、将来の減収が想定される場合、その減収分の損害を金銭評価したものとなります。

 

 後遺障害は、後遺障害が残存した方に対し、労働能力の低下をもたらすことが多いです(事故前より、仕事の効率が下がるなどです)。

 

 そのような方は、将来的にその後遺障害によって、収入の減少が生じてしまう可能性が高いです。

 

 そのような方の将来の減収を損害賠償時点において評価し、金銭的な損害としたものが後遺障害逸失利益なのです。

 

 

 

 では、この「後遺障害逸失利益」は、どのように算定するのでしょうか。

 

 


 

 これには、具体的な計算式があります。

 

 具体的には、

 

 ①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間

 

 になります。

 

 

 このうち、①基礎収入は、事故前年度の年収を基礎とすることが多いです。

 

 これは、確定申告や源泉徴収票から明らかになるかと思います(主婦の場合は、女性の平均賃金を使用し、算定することが多いです)。

 

 

 

 また、②労働能力喪失率については、特段の事情が無い限り、後遺障害の等級認定ごとに決まった数字を使います。

 

 具体的には、14級であれば、0.05、12級であれば0.14、11級であれば、0.2などです。

 

 ただし、この②労働能力喪失率は、その人の後遺障害の具体的な内容や仕事などへの支障度によっては、低く認定されることがあり、保険会社も争ってくることが多いです。

 

 

 

 最後に③労働能力喪失期間ですが、これは、原則として、症状固定日の年齢から67歳までの年齢をもとに算定します(ただし、症状固定時の年齢によっては、別の算出方法がございます 高齢者や未成年の場合、この原則が当てはまらない点には注意が必要です)。

 

 例えば、症状固定時30歳だとすると、37年(67-30=37)が労働能力喪失期間となります。

 

 もっとも、むち打ち症の場合では、12級では10年、14級では5年程度とされることが一般的です(症状が馴化するため)。

 

 また、労働能力喪失期間が仮に10年であったとしても、最初に記載した算定式上、10を乗じるわけではありません。

 

 これはどういうことかというと、金銭の時間価値を考慮するということです。

 

 

 

 例えば、10年後の10万円と現在の10万円の価値は、同等でしょうか。

 

 現在の10万円は、今後運用することで、10万円以上の価値を生み出すことができますね。

 

 そういう考えのもと、将来の10万円を今の価値に換算し賠償額を算定する必要があります。

 

 そのために使用しているのが、ライプニッツ係数と言います。

 

 

 

 例えば、5年であれば係数は、4,5797、10年なら係数は、8.5302となり、これを労働能力喪失期間として乗じます(インターネットや書籍には、労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数が記載されています)。

 

 上記を前提に、年収500万円、むち打ち14級認定、労働能力喪失期間5年の後遺障害逸失利益は、上記計算式を参考にすると、

 

 500万円×0.05(労働能力喪失率)×4.5797≒114万4925円

 

 と導けますね。

 


 

 後遺障害逸失利益は、上記の通り算定しますが、金額も比較的大きくなることも多いため、保険会社との交渉は難航し、裁判へと発展することも少なくありません。

 

 

 後遺障害逸失利益について、お悩みの方は、お気軽にお問合せ下さい。

 

 以上、今日は、後遺障害逸失利益のコラムでした。

 

 

 

 

 弁護士 立花志功

2022年05月23日