加害者が任意保険に加入していなかった場合の対応策(交通事故)No.112

 どうも、札幌の弁護士の立花です。

 

 今日も交通事故のコラムです。

 

 

 

 先日、20代の約4割が任意保険に加入していないというアンケート結果がインターネット記事になっているのを見つけ、任意保険に加入した方がいいことを記事にしたところ、それなりに反響がありました。

 

 では、今日は、相手方が任意保険に加入していなかった場合、被害者はどういう対応ができるのかについて、お伝えしようと思います。

 

 

 

 まず、交通事故被害者が何より優先で考えなければならないことは、適切な治療を受ける方法です。

 

 治療を受けなければ、負傷した身体が治らない上に、賠償も期待することができなくなるからです。

 

 では、どのように治療費を確保すればよいのでしょうか。

 

 

 

 まず、自分の事故に労災が適用されるのかを確認しましょう。

 

 労災保険が適用される場合、治療費が労災保険から支払われます。

 

 これにより、相手方に資力が無くても、治療費と休業補償を確保できる可能性があります。

 

 

 

 次に、自分自身が、人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険、無保険車傷害保険等の保険に加入していないか確認しましょう。

 

 これらは、自分自身の怪我に対し、自分の加入する保険会社より、治療費や慰謝料等が支払われるという保険です。

 

 そう書くと、「加害者が無保険でも大丈夫ですね。」と言われかねないですが、違います。

 

 人身傷害補償保険等は、あくまで全損害額の一部しか支払われないことが多いです(ただし、自分自身にも大きな過失割合がある場合は、人身傷害補償保険以上の保障は、受けられないことがあります)。

 

 これも無い場合でかつ、相手方の自動車に自賠責保険がついている場合、治療費を自賠責から回収することになります。

 

 その際、可能であれば、健康保険を使用し、治療費を圧縮したうえで、自賠責に被害者請求をすることで、治療費を回収します。

 

 

 

 

 一方で、相手方が自賠責保険にも加入していない場合、政府保障事業という救済手段があります。

 

 以上を踏まえ、各々の手段によって被害者に支払われる金額が、本来被害者に支払われる金額に満たない場合、残額を訴訟や交渉によって加害者に請求していくことになります。

 

 しかしながら、任意保険に加入していない方が多額の賠償金を支払うことができる事例は多いとは言えません。

 

 それゆえ、被害者の救済として必ずしも十分なものを受けられるとは限らないのです。

 

 なので、前回のコラムでも申し上げましたが、是非、ドライバーの方は、任意保険に加入して、万が一に備えて下さると幸いです。

 

 

 

 今日は、加害者が任意保険に加入していない場合の対応策のコラムでした。

 

 

 

 

 弁護士 立花志功

2022年08月02日