交通事故事件で労災を使える場合には、適用を検討すべき理由(交通事故)No.129

 どうも、札幌の弁護士の立花です。

 

 今日は、交通事故のコラムです。

 

 

 

 交通事故事件であっても、業務中の事故や通勤、退勤時の事故であれば、労災保険が適用できる場合があります。

 

 一方で、交通事故では、自賠責保険や任意保険が適用されるのが一般的です。

 

 このように、労災も任意保険も適用されうる事故の時、労災を使った方がいいのでしょうか。

 

 結論から申し上げますと、労災保険の適用は十分検討に値します。

 

 以下、3つの理由をお伝えします。

 

 

 

 

 まず、①1つ目の理由として、労災による治療は、保険会社の一括対応による治療とは違い、シビアな打ち切り対応がないことが挙げられます。

 

 交通事故事件において、皆様を悩ませる一番の要因は、保険会社からの治療費支払いの打ち切りかと思います。

 

 保険会社が、「そろそろ治療終了ではないですか?」と聞いてくるあれです。

 

 場合によっては、まだまだ治療が必要なのに、治療が強制終了されることも少なくありません。

 

 一方、労災の治療であれば、そこまでシビアに治療終了が迫られるということはありません。

 

 それゆえ、労災による治療の方が、安心して治療できるということが少なくありません。

 

 

 

 

 ②2つ目の理由として、過失があるときに、最終賠償額が有利になる可能性があるという点が挙げられます。

 

 この話は、法律に詳しい方でないと伝えるのが難しいのですが、労災には、「費目間流用の禁止」の原則があります。

 

 この原則によって、交通事故被害者に過失がある場合には、任意保険によって治療費を受けていた場合に比べ、労災保険から治療費を受けていた場合には、最終賠償額が増えることがあります。

 

 この辺りは、難しいので、過失ある場合には、労災保険の方が有利な可能性があると覚えておいてください。

 

 

 

 

 ③3つめの理由として、特別支給金が、相殺されないという点が挙げられます。

 

 労災保険を使用すると、特別支給金を貰えることがあります。

 

 この特別支給金、相手方が払わなければならない賠償額からは、控除されません。

 

 そうすると、この特別支給金分は、労災を使わなかった場合に比べ、「多く」補償を受けられることになります。

 

 

 

 

 上記3点が、労災を使用するメリットでした。

 

 ※一方で、労災使用の場合で、気を付けなければならないこととしては、労災を使用して治療をした場合、相手方保険会社が、治療期間の必要性、相当性を争ってくる可能性があるという点があります。

 

  以上、今日は、交通事故事件で労災を使うことを検討すべきだよというコラムでした。

 

 

 

 

 弁護士 立花志功

2022年08月31日