街弁志望の新修習生は、どのように立ち回るべきか(業務雑記)No.135

 どうも、札幌の弁護士の立花です。

 

 今日は、先日合格発表があった司法試験の合格者向けのコラムです。

 

 

 

 新修習生は、これからの修習にワクワクし始めた頃ではないのでしょうか。

 

 そんな中、気になってくるのが、就職先、もっと言えば将来の自分のことです。

 

 今日は、その中でも成る方が最も多い、「街弁」志望者に対し、「僕の考えた最強の立ち回り」を教えたいと思います。

 

 

 

 まず、街弁の就職先として、総合型(様々なジャンルの仕事をしている事務所)と専門特化型(特定のジャンルに絞って業務を行う事務所)がありますが、双方一長一短であり、原則としてどちらの事務所でもいいのではないかと思います。

 

 ただし、専門特化型に行く場合には、絶対に気を付けた方がいいことがあります。

 

 それは、その専門ジャンルが将来的に「マネタイズ」が望めるかです。

 

 

 

 

 私の時代の一つ前は、過払いや債務整理が流行し、私の時代は交通事故がはやっていました。しかしながら、過払いは終焉し、交通事故もコロナ禍の影響もあり、事件が減っています。

 

 さらに言えば、債務整理は、インターネット上のSEOが難しく、交通事故も減り続けるパイを奪い合っているというのが現状です。

 

 こういう状況の中、数年先の独立を見据えて、「今」、債務整理や交通事故に「BET」していく・・・というのは、あまり得策とは言えないのではないか・・・と考えます(ただし、債務整理や交通事故でも業界のトップランナーの事務所は別です。様々な工夫がたくさん学べるからです)。

 

 街弁が独立するためには、原則としては、オールジャンルに対応できるのがベストと考えますが、最低2分野の柱があれば、野垂れ死ぬことはないのではないか・・・と思います(1分野だと環境の変化によって、経営難になる可能性が高い)。

 

 そういった意味では、その2軸を獲得できる事務所というのが、望まれるのではないか・・・そう考えます。

 

 

 

 

 次に、個人事件ができるかについて、検討した方がいいと思います。

 

 一口に「個人事件ができる」、といっても個人で取ってきた事件の責任及び売上げがイソ弁に帰属するタイプ、事件が事務所に帰属して報酬の一部が分配されるタイプ、事件が事務所に帰属し、その処理をイソ弁が行うタイプなど、様々なタイプがあります。

 

 個人的には、売上の帰属はどうでもよいですが、個人事件が「ある程度できる」という環境の方が良いと思います。

 

 新修習生の皆さんは、弁護士になった瞬間、色々な人から勝手に事件が来ると思いがちです。しかしながら、そうではありません。

 

 

 

 自分から取りに行かなくては、個人事件はやってきません。

 

 

 

 しかしながら、この個人事件を取りに行く能力は、実際にやらなければ身につくことは「絶対にありません」。

 

 一生、独立しないのであれば、別にいいのですが、この能力は訓練しないと身につかないのです(獅子が子を谷に突き落とすように、もがき苦しむ経験をしなければ、身につかない)。

 

 そういったトレーニングをするためにも個人事件ができる環境が望まれます。

 

 

 

 

 では、刑事事件はどうでしょうか。

 

 最近は、刑事事件を取り扱っていない弁護士も増えています。

 

 個人的には、国選弁護をある程度担当すべきと考えます。

 

 理由としては、刑事事件は、民事事件と手続きが違いやらないと身につかない上、独立するとき収益の計算が立ちやすいからです。

 

 

 

 

 国選事件は、広告費がかかりません。この意味は独立したときに身に沁みます。

 

 給料や働きやすさはどう考えるべきでしょうか。

 

 個人的には、個人事件がある程度できる環境なら、「給料」にはこだわるべきでは無いと考えます。

 

 また、働きやすさは、単に労働時間などで考えるのではなく、誰と働きたいかなどで考えるべきでしょう。

 

 人間的な相性が一番大事です(私は、勤務した事務所の空気感が好きで、長く勤めることができました。)。

 

 

 

 

 

 話が長くなりましたが、これから街弁になる新修習生は、少なくとも2分野を収益化が見込めるだけのスキルにする必要があり、それが学べる環境に行くべきと考えます。

 

 また、個人事件は可能ならできる環境に身を置いた方が、後々良いです。

 

 街弁は、最初の事務所の影響をもろに受けることになりがちです。

 

 ぜひ、せっかくの司法試験合格、有意義になるように頑張ってください。

 

 

 

 

 

 弁護士 立花志功

2022年09月08日