後遺障害診断書は、「減点方式」です(交通事故)No159

 どうも、札幌の弁護士の立花です。

 

 今日は、交通事故についてのコラムです。

 

 

 

 交通事故によって、首や腰の痛みが生じた方が、後遺障害の認定を希望し、後遺障害診断書を医師に作成してもらう際、ぜひ覚えておいてほしい事項があります。

 

 それは、後遺障害診断書に「不利な記載」がある場合、真実、症状が残存していても後遺障害の認定が受けられなくなる恐れがあるという点です。

 

 後遺障害認定の結果が出ると、後遺障害等級の理由が記載された結果が送付されるのですが、その理由には、後遺障害診断書に記載された文言を揚げ足取りかの如く記載し、非該当の理由としているものが少なくありません。

 

 具体的には、この3点の記載には、要注意です。

 

 

 

 

 まず、一つ目は、自覚症状欄に「動作時痛、○○の時に痛む」などと、特定の動作をした時にだけ痛むといった記載がある場合です。

 

 原則として、むち打ち症で後遺障害を取ろうとする場合、常時痛を否定し得るこういった記載は、後遺障害を否定する方向に繋がります。

 

 

 

 また、他覚所見欄に「神経学的な異常なし」などと異常が無い旨書かれている場合も要注意です。
 「異常がないのであれば、症状の説明はつかない」と判断される材料を自賠責に与えてしまう可能性があるためです。

 

 

 

 最後に、症状の見通し欄に「改善傾向」などと、症状が残存しない可能性を示唆する危険がある旨書かれている場合も危険です。

 

 

 

 

 後遺障害とは、今後も症状が改善しないことが大前提となるところ、改善可能性がある症状は、もはや後遺障害とは言えないからです。

 

 では、こういった記載を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。

 

 

 

 一つの解としては、医師に後遺障害診断書を作成してもらう際、しっかり医師とコミュニケーションをとって、こういった記載を防ぐといったことが考えられます。

 

 もう一つの方法としては、出来上がった後遺障害診断書を訂正してもらうという方法です。

 

 ただし、これについては、リスクも多く、できれば後遺障害診断書を作成してもらうときに、しっかりとコミュニケーションをとるという方がおすすめです。

 

 以上、本日は、後遺障害診断書は一つでも悪い記載があると後遺障害が認定されなくなる可能性がある「減点方式」ですよというコラムでした。

 

 

 

 弁護士 立花志功

2022年10月20日