訴訟と交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターの使い分け(交通事故)No.204

 どうも、札幌の弁護士の立花です。

 

 今日は、交通事故に関するコラムです。

 

 交通事故の治療も終了し、あとは相手方保険会社と示談を待つのみ・・・というタイミングで、相手方保険会社が交通事故被害者の希望とはかけ離れた賠償金の提示をしてきたとき、取りうる手段としては大きく3つあります。

 

 

 

 

 一つは、もう少し交渉してみて示談をするという方向です。

 

 これについては、訴訟やセンター(交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターを併せて、「センター」といいます。)を利用する場合に比べ、早く解決することが可能というメリットがあります。

 

 しかしながら、何らの強制手段がないため、保険会社が譲歩しない場合、望む形での解決が見込めない可能性があります。

 

 

 

 

 2つ目は、訴訟を行うという方向性が考えられます。

 

 訴訟は、強制的な解決であるため、保険会社の意向とは関係が無く、事件を解決することができますが、当然、事案によっては、敗訴リスクや賠償金額が思ったよりも減額されるというリスクがあるため、事案によっては訴訟をすべきでないというパターンも存在します。

 

 また、訴訟となると、かなり時間がかかるのが通常であり、一般には少なくとも半年程度はかかると思っておいた方が無難です。

 

 

 

 

 3つ目は、上記のセンターを利用するという方法が考えられます。

 

 交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターは、訴訟に比べると解決が柔軟であり(話し合いベースであるため)、解決までのスピードも速いです。

 

 では、訴訟にすべきかセンターにすべきか迷ったとき、どういった基準で選ぶべきでしょうか。

 

 

 

 

 まず、後遺障害や治療期間の有無など、相手方と交通事故被害者との間で大きな争点がある場合には、訴訟が適切かと思います。

 

 これはなぜかというと、大きな論点がある場合、センターの前提である相互に譲り合って解決するということが難しいからです(場合によっては時間の無駄)。

 

 一方、損害の発生や後遺障害の有無には争いがなく、賠償金の金額のみが争点になっているような事案であれば、センターの方が適切という場合も考えられます。ただし、センターでの解決の場合、弁護士費用や遅延損害金が認められないのが原則ですので、そこも考慮すると訴訟の方が良いという発想もあり得ます。

 

 上記の観点とは別に、相当程度敗訴リスクがある場合には、センターを利用するという発想もあり得ます。

 

 センター利用の場合、訴訟とは違い、結果に納得できなければ訴訟に移行するという手段も取ることができるため、被害者は結果に拘束されないと言えるからです。

 

 要するに、被害者にとっては、センターの判断結果について、ある程度「乗り降り自由」なのです。被害者側としては、ここは看過できません。

 

 また、訴訟では証拠が弱い場合であっても、センターであればある程度柔軟な解決も見込めます。

 

 このように、訴訟をすべきかセンターを利用すべきかは、結構事案によって異なります。

 

 

 

 

 個人的には、リスクをとっても賠償額を最大化したいという方は訴訟、ある程度のところで譲り合って解決したいという場合は、センター利用になるかと思います。

 

 もし、保険会社の提示額に納得できない場合には、一度ご相談いただけますと幸いです。

 

 以上、今日は、交通事故について、訴訟と交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターの使い分けに関するコラムでした。

 

 

 

 弁護士 立花志功

2023年03月06日