どうも、札幌の弁護士の立花です。
今日は、交通事故に関するコラムです。
交通事故で何とか後遺障害が認定されたとき、労働能力喪失期間分の逸失利益が認められるのが通常かと思います。
その際、5年や10年などの労働能力喪失期間が認められることがありますが、この数字、単純に×5や×10ではなく、×4.5797や×8.5302となっています。
これは何故でしょうか。
この×4.5797(5年の場合)や×8.5302(10年の場合)は、いわゆるライプニッツ係数と言われるものです。
なぜ、5年の場合、4.5797、10年の場合、8.5302になるのかというと、お金の利息が考慮されているからです。
皆さんは、今100万円貰うことと、10年後に100万円貰うことは等価値だとおもいますか?
実はこれ、経済的には、今100万円貰う方が得なのです。
どういうことかというと、今の100万円は運用して利息が付く可能性があるため、10年後には、もっと増えているという「擬制」がなされるということなのです。
具体的には、100万円を年利3%で運用していると仮定すると、10年後には、約134万になります(100万円×1.03×1.03・・・×1.03)。
要するに、今の100万円と10年後の134万円は、等価値ということになります。
この考え方がライプニッツ係数にも表れています。
つまり、5年間を単純に合算したものでは無く、毎年の利息を考慮して、年数を現在価値に直したもの・・・それがライプニッツ係数なのです。
なので、5年なのに、4.5797、10年なのに8.5302という数字で年数を計算しています。
このように、後遺障害逸失利益の労働能力喪失期間の数字が実際の期間よりも小さくなるのは、別に保険会社がディスカウントしているわけではなく、年利を考慮する数学上は当然なのです。
以上、今日は、ライプニッツ係数に関するコラムでした。