医師の見解は、治療期間を決める上で重要です(交通事故)No.267

 どうも、札幌の弁護士の立花です。

 

 今日は、交通事故のコラムです。

 

 

 交通事故で受傷し、怪我をした際、原則、保険会社から治療費を支払ってもらって、治療をすることになるのですが、この治療費は無限に出るものではありません。

 

 では、治療期間は、どのように決まるのでしょうか。

 

 これは、一言で言うと、治療終了に関する、医師の判断と保険会社の判断のうち、早い方に合わせるということになります。

 

 

 

 まず、医学的には、症状固定とは、これ以上治療を行っても、よくも悪くもならない状況のことを言います。

 

 この症状固定という状態になった場合には、それ以上の基本的には治療の必要性がなく、症状固定日以降の治療費の支払いは行われないことになります。

 

 ただし、実務的には、症状固定で治療終了となる前に、保険会社が独自に治療費を打ち切ることが多いです。

 

 この治療費の打ち切りは、行われると、保険会社から治療費の支払いは無くなります。

 

 このように、お医者様が治療の必要性を認めていたとしても、保険会社が治療を独自に打ち切ることがあります。

 

 これを数学のようにあらわすと、治療費の支払い終了時期は、医師が治療終了と判断する日と保険会社が治療費の打ち切りを判断する日のうち、早い日である・・・ということになります。

 

 このうち、保険会社の意向により、治療費の支払いが終了している場合で、医師が治療の必要性を認めている場合、自費で治療を行い、自賠責保険に治療の請求を行うことで、全治療期間の治療を自己負担なくできる可能性があります。

 

 

 

 一方、保険会社よりも早く医師が症状固定と判断している場合には、こういった対応はできません。

 

 医師が症状固定と判断している以上、それ以降の治療は、交通事故とは因果関係の無い、私病としての治療とみなされるためです。

 

 このような状態は、症状がまだ残っていて、治療を継続したい交通事故被害者の立場からすると、避けなければならない事態です。

 

 では、どうすれば避けられるでしょうか。

 

 

 

 

 この点は、色々あるのですが、最も重要なことは、医師のコミュニケーションを取ることです。

 

 医師は、患者から訴えのない症状は、無いあるいは改善したとみなす傾向があります。

 

 ですので、症状がある場合には、医師にしっかり伝える、改善傾向にある場合には、その旨も伝えるというのが、このような事態を避けるための第一であると言えます。

 

 このように、交通事故には、知っていればなんてことない知識であっても、知らないがゆえに、取り返しのつかない事態になることがそれなりになります。

 

 ですので、交通事故の初期段階でご相談いただいて方がよろしいかと思います。

 

 

 

 以上、本日は、交通事故のコラムでした。

 

 

 

 弁護士 立花 志功

2025年05月20日