簡易裁判所での裁判で起こり得ること(訴訟) No.36

 どうも、札幌の弁護士の立花です。

 

 今日は、簡易裁判所で裁判をする際の注意点を書きます。

 

 

 

 訴額(請求額と思ってもらえばよいです)が140万以下の事件は、原則的に簡易裁判所にて裁判を行うことになります。

 

 

 

 では、簡易裁判所での裁判は、地方裁判所での裁判と同様に考えておけばいいのでしょうか。

 

 もちろん、原則的なルールは一緒です。お互いの主張を証拠に基づいて立証していきます。

 

 しかしながら、気を付けなければならない点があります。

 

 

 

 それは、裁判官に様々な方がいるという点です。

 

 簡易裁判所の裁判官・・・実は、弁護士、検察官、裁判官になるための試験である「司法試験」に合格していなくてもなることができてしまいます。

 

 それゆえ、司法試験合格者に共通する実務上の「常識」が簡易裁判所の裁判官に通じないことがないとは言えません(もちろん、能力の高い裁判官も当然にいらっしゃいます)。

 

 

 

 実際、私が判例上の「常識」を述べても取り合ってもらえなかったことも何度かございます。

 

 しかも、少し難しい論点が含まれる主張をすると、地方裁判所に移送されることもあります(刑事事件で経験しました)。

 

 それゆえ、簡易裁判所での裁判は、必ずしも弁護士の当初の印象通り進まないといったことが生じ得るのです(逆に言えば、必ずしも法律的・証拠的には通りにくい主張であっても裁判官の心象にうまく働きかけることができれば、思っていたより有利な判断を得ることができるかもしれません)。

 

 

 

 このような不確定要素を避けるため、弁護士によっては、いろいろな手を使って、訴額を140万以上にする方もいると聞きました。

 

 私としては、簡易裁判所の事件においては、なるべく丁寧に主張を説明する、 証拠関係を極力シンプルにするといった工夫をしています(ある証拠から、この事実は主張できるということが分かりやすい状態にしています)。

 

 結局は、簡易裁判所の案件でも地方裁判所の案件でもやることの本質は変わりませんが・・・

 

 

 

 以上、今日は、簡易裁判所のお話でした。

 

 

 

 弁護士 立花志功

2022年04月08日