交通事故(人身)の保険の色々(交通事故)No.40

 どうも、札幌の弁護士の立花です。

 

 今日は、交通事故の保険の仕組みについてのコラムです。

 



 交通事故といえば、まず皆さんが思い浮かぶのは、自賠責保険だと思います。


 自賠責保険は、いわゆる強制加入保険です。


 よく間違えられますが、自賠責は、「相手」の「怪我」に対する損害にしか使えません。

 ですので、自分の怪我に自分の自賠責を使うことや車の損害に対し自賠責を使うことはできません。

 また、自賠責保険は、最低限の補償しかなされません。

 

 そこで、自賠責では補いきれない相手方に対する損害を補填するために、任意保険に入ります。

 


 もっとも、通常の交通事故ですと、交通事故被害者は、自賠責保険の存在を意識することは少ないかと思います。

 これは、日本の保険制度では、任意保険会社が、自賠責保険も取りまとめているからです(この場合の任意保険会社を一括社といいます)。



 すなわち、被害者は、任意保険会社から自賠責も含めて、任意保険会社から一括して保険金を受け取るため、自賠責をあまり意識せず、賠償を受けることになります。

 もっとも、この仕組みには、気を付けなければならない点があります。


 

 それは、任意保険会社が、自ら保険金を支払うように見せて、一括対応している自賠責保険金の枠内でしか保険金を払っていないことがあるということです。


 任意保険会社は、自賠責保険金と自身の保険金を組み合わせて支払うため、一見、ある程度の金額が支払われているように見えても、実は、自賠責保険金しか支払われていないということがあります。

 このスキームは、交通事故に不慣れな交通事故被害者にとっては、よくわからないまま、示談してしまうという危険がはらんでいます。


 一方で、このような取り扱いにつき、被害者には、自賠責と任意保険のそれぞれに対応しなくてよいという手続き的なメリットが存在します。

 ですので、任意保険会社が自賠責分も対応する現行の制度は、無くならないのです。


 

 最後に紹介するのは、人身傷害補償保険です。


 この保険は、自分の怪我に対する損害を補償してくれる保険です。

 相手方が無保険の場合や自分に過失割合がある場合にその威力を発揮します。

 相手方の任意保険にも請求が可能でかつ人身傷害補償保険の適用も可能であるという場合、どちらを先に請求するかによって、実務上では受け取れる金額が変わることがあります。

 この人身傷害補償保険を適用しなければならないケースに関しては、複雑な法律関係になることも多いです。



 以上、人身に関わる3つの保険を説明させていただきました。


 当所は、いずれの保険についても理解しておりますので、交通事故被害者の方は、ご安心してご相談ください。

 

 

 

 弁護士 立花志功

2022年04月14日