現実的に予備試験に合格する方法の考察(雑記)No.54

 どうも、札幌の弁護士の立花です。

 

 どうやら、明日から司法試験のようです。

 

 司法試験を受験するためには、予備試験の合格か法科大学院の修了が必要ですので、少なくとも明日から受験する方は、相当な努力量をこなしているかと思います。

 

 そういった努力が少しでも報われるよう、心より応援しております。

 

 

 

 さて、現行の司法試験を受験するためには、予備試験に合格するか法科大学院を修了する必要があるところ、私は、そのどちらも経験しておりますので(予備試験合格かつ法科大学院修了者です)、今日は、現実的にどうすれば予備試験に合格できるのかを私の5回の予備試験受験の経験をもとに語りたいと思います。

 

 

 

 具体的には、来年の予備試験を受験するという想定で考えます。

 

 まず、1年で予備試験に合格することは、可能なのかと言われると、「極めて厳しい、しかし不可能ではない」というのが答えになります。

 

 予備試験に合格するためには、旧司法試験より若干長い論文問題に対し、それなりの回答を全科目において揃えると合格することができます(予備試験の天王山は、論文です)。

 

 では、そのためには、どうすればよいのでしょうか。

 

 

 

 私が思う最適解は、まずは、予備校の入門講座を受講し、12月までに2周することです。

 

 論文式試験で最も恐ろしいのは、ある問題で、全く見当違いの回答を書くことです。

 

 この見当違いの答えを書くという「事故」は、なぜ起きるのかというと端的に「理解不足」か「問題文の誤解・誤読」に起因します。

 

 このうち、「問題文の誤解・誤読」をしてしまう方は、問題の読み方が、実務家の読み方になっていない場合におきます。

 

 これは、正直言って、センスと訓練ですので、一朝一夕に身につくものではありません。

 

 なので、これを減らすには、時間がかかります。

 

 

 

 一方で、「理解不足」に起因する「事故」は、努力で減らせます。

 

 具体的には、試験によく出る重要論点(Aランク論点)をしっかり「理解」することです。

 

 ここにいう「理解」とは何なのかと問われると入門講座の内容を使いこなせる状態にすることを言います。単なる論証パターンの丸暗記はだめです。

 

 論証の丸暗記だとどうなるかというと、必ず試験中に問われていないことを無理やり論証パターンに引き付けて書いてしまい、試験委員の問いに答えていない答案になってしまいます。

 

 そういう意味では、論証を自分の言葉(テクニカルワード キーワードを用いる)で説明できるようにすべきだと思います。

 

 

 

 そのために、まずは、予備校の入門講座を2周すべきです。

 

 入門講座を全100コマとするなら、1週目は、1日一コマ、2周目は、2倍速で一日2コマ学習すべきです。

 

 そうすると、12月前後になると思いますので、次は、論文対策を行います。

 

 

 

 

 具体的には、1科目当たり憲法40問、民法60問、刑法40問、商法24、民訴24問、刑訴24問、行政法24問位が目安で、予備試験及び旧司法試験の過去問を学習し、論文の典型パターンを「記憶」します。

 

 世の中には、「典型問題」と呼ばれる論文問題があり、これらに対応するためには、過去問を勉強するのが一番です。

 

 市販の書籍でも十分ですが、司法試験の答案形式の回答がついたものを選びましょう。

 

 

 

 これらを頑張って勉強しているうちに、4月~5月になります。

 

 短答試験の2か月前からは、初回受験生の方は、短答対策に特化することになります。

 

 具体的には、毎週1回、できれば2回、予備校の短答模試を受けて下さい。

 

 その際、必ず、毎回の模試の後に、復習を行ってください。復習をするのは、間違った問題と知識があやふやな問題だけでよいです。

 

 よく、復習というと全問復習しようとする人がいますが、時間の無駄です。

 

 ここで、入門講座の知識がしっかり入っていれば、短答プロパーの知識を勉強せずとも5~6割くらいの点が取れます(法律科目のみ)。

 

 一般教養は、模試の範囲以上は勉強しなくてよいです(知識不要の問題と常識的な問題で24~30点くらいは取れます)。

 

 

 

 無事、短答式に合格すると、論文まで2か月しかありません。

 

 早急に、自分自身の論証集を確認した後、答案練習で書く訓練をしてください。

 

 目標は、2校以上の予備校の直前答練及び模試を全て書いてください。

 

 答案は、書く練習をしないとうまくなりません。

 

 さらに、書いた後、自分の答案が「採点表」で点を取れるのか、必ず自己採点してください。

 

 正直言って、論文対策で最も大事なことは、自身の答案を「採点表」にアジャストすることです。

 

 なぜなら、論文式試験は、自分の見解を好き勝手に書くことではなく、試験委員が書いてほしいことを「空気を読んで書く」ことだからです。

 

 なので、自身の答案が、採点表で点の取れるものになっているかは、必ず毎回確認し、外しているならば、なぜそのような答案になったのかを自問自答してください。

 

 

 

 

 忘れてはいけない対策の残りとして、選択科目と法律実務科目の学習です。

 

 必然的に選択科目は、勉強量の少ない科目になるかと思います。

 

 個人的には、環境法がおすすめです。

 

 どちらの科目も、短答式の終了日から2週間以内に一気呵成で勉強しましょう。

 

 具体的には、予備校の入門講座を使いましょう。

 

 法律実務科目は、実体法をしっかり理解していれば、そんなに覚えることは少ないです(本当に記憶すべきは、民法の延長である要件事実と二段の推定、刑事事実認定の考慮要素位です あとは、短答式の時点で、勉強しているべき内容です)。

 

 

 

 こうして、予備試験の論文式試験を受験します。

 

 口述試験対策は、予備校の模試を申し込むことと実務科目のブラッシュアップ位の勉強量でも落ちません(むしろ、翌年の司法試験に向けた勉強をすべきです)。

 

 ただし、私は、本番で試験委員に呆れられるほどのミスを連発しました。

 

 それでも、何とか拾っていただけました。

 

 このように、本当に予備試験に合格するんだというマインドセットでかつ、ゴールから逆算すれば、予備試験に合格することは、不可能ではありません。

 

 こういう勉強方法を私の時は、誰も教えてはくれませんでしたが、今は、札幌でもかなり受験の情報が手に入れられるようになっています。

 

 ぜひ、予備試験の合格を目指すのも一考かと思います(予備試験に限らず司法試験関連の試験は須らくハードではありますが・・・)。

 

 

 

 今日は、予備試験の合格法の記事でした。

 

 ぜひ、北海道から予備試験合格者がたくさん出ることを祈っております。

 

 もちろん、司法試験もたくさん合格してほしいです。

 

 

 

 弁護士 立花志功

2022年05月10日