侮辱罪厳罰化の意義(刑事事件)No.82

 どうも、札幌の弁護士の立花です。

 

 今日は、侮辱罪の厳罰化についてです。

 

 

 つい先日、侮辱罪の法定刑が引き上げられる改正が行われました。

 具体的には、元々の法定刑が「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」
であったものが、改正後「1年以下の懲役もしくは禁錮、30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」になりました。

 要するに、悪質性のいかんによっては、長期の身体拘束や多額の罰金があり得るようになったのです。

 

 

 厳罰化の趣旨としては、インターネット上の誹謗中傷に対応するためになります。

 これまで、軽く考えられてきたインターネット上の誹謗中傷に対し、国が本腰を上げてストップをかけるため、動き出したということです。

 この改正自体は、インターネットによる誹謗中傷を「行った方」を罰する「刑法」の改正ですが、「被害者」の被害回復は、「刑事事件」とは別に、「民事事件」として行われるのが通常です。

 しかしながら、被害者の被害回復は、現実として、まだまだハードルがございます。

 

 

 こういった被害者の被害回復についても、もう少し議論がなされてもいいような気がします。

 また、侮辱罪の適用が行き過ぎると、表現の自由への不当な干渉になる可能性も否定はできません。

 特に、表現の自由のうち、表現を通じて政治活動に参加するという点に抑止がかからないかは、心配です(いわゆる表現の自由の「自己統治」の価値)。

 しかしながら、表現によって、人命が失われることもある現代においては、やはり、一定の規制はやむを得ないのでしょうね・・・

 

 

 以上、今日は、侮辱罪厳罰化のお話でした。

 当所は、インターネット上の誹謗中傷問題にも対応しています。

 ぜひ、誹謗中傷にお困りの方は(被害者も加害者も対応可)、当所までご相談ください。

 

 

 

 

 弁護士 立花志功

2022年06月17日