どうも、札幌の弁護士の立花です。
今日は、弁護士業務のコラムです。
ご相談者様にご相談いただいたとき、弁護士が一番気にするのは、ご相談者様の主張が、証拠によって立証できるのかです。
ある人の主張が認められるのか否かは、その主張が認められるか否かによって決まります。
それゆえ、証拠はとにかく重要なのです。
ただし、この証拠、単に量がたくさんあれば良いというわけではありません。
要件事実を意識して証拠を集めなければならないのです。
例えば、借りたお金を返してもらいたいとき、法律的には、消費貸借契約に基づく貸金返還請求権を主張します。
そして、この権利を主張するためには、場合にもよりますが、返還時期の合意がある契約の場合、①金銭交付、②返還合意、③返還時期の合意、④返還時期の到来を主張することになります(なお、要件事実的に①、②のみで足りるという説も存在します)。
このうち、①と②について、考えたいと思います。
お金を返してほしい人から相談を受けた場合、お金を振り込んだ通帳のコピーや、相手がお金を受領したことを示す領収書などをたくさん持ってくる一方、相手方とのお金の貸し借りは、口約束でしたという方がいるとします。
この場合、自分が相手に対し、お金を渡したことは、証拠上立証することが可能かと思います。すなわち、上記のうち、①を立証することができるのです。
一方で、上記の証拠から②を立証することができるでしょうか。
お金を受け取った相手方としては、「お金は受け取ったけど、くれると言ったから、もらっただけだ」などと言い逃れされる可能性があるのではないでしょうか。
そうなのです。たくさんあると思われていた証拠は、全て①金銭交付を立証するものにすぎず、自分と相手方で貸したお金を返すという合意、すなわち②返還合意を裏付けることができないものなのです。
このように、自分がたくさんの証拠を持っていると思っても、法律的に必要な事項が立証できないことがあり、このような場合、自分のイメージと訴訟の勝敗が異なってくるということがあります。
逆に言えば、あまり証拠がないと思っても、法律的に証明を要する事項(前述の例であれば、①~④)に対し、過不足なく証明ができる証拠が揃っている場合、実は問題がないという場合があります。
そのように考えると、証拠の「量」はあまり重要ではなく、あくまで、証拠の「質」(証明力)が重要と言えそうです。
そうは言っても、よくわからないよ!という方は、一度ご相談いただければ、証拠が過不足なく揃っているか所感をお話しいたします。
以上、今日は、証拠は、単に量が多いだけではだめで、質も重要だよというお話をさせていただきました。